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Delhi Iron pillar

錆びない1,600年前の驚異、古代インド「デリーの鉄柱」の謎

インドのニューデリーにある「デリーの鉄柱」です。1993年に登録された世界遺産「クトゥブ・ミナールとその建造物群」の敷地内にあります。紀元415年に建てられたといわれ、99.72%という高純度な鉄(純鉄)で直径は約44cm、高さは約7m、地下に埋もれている部分は約2m、重さは約10トンです。1,600年前の古代インド「デリーの鉄柱」の「錆びない謎」や「起源の謎」が話題です。地球外生命体が建てたとの説も(^^)

Iron Pilla at night
Iron Pillar at night / Wikipedia

2003年に錆びない謎がインド工科大学(IIT)カンプール校の研究者らによって解明され、学術誌「カレント・サイエンス」に発表しました。鉄柱は主に錬鉄でできており、現代の鉄(リン含有量は0.05%以下)とは異なり、リンの含有量が高く(約1%)、硫黄とマグネシウムが不足していました。さらに、古代の職人は「鍛接」と呼ばれる技法を使用、つまり鉄を加熱して叩くことで、高いリン含有量をそのまま維持し、現代では珍しい技法です。また、インドでは鉄を精製する際にミミセンナ(Senna auriculata)というリンを含む植物を加えていた記録があるということです。鉄柱の下部に人が触るため錆びています。(いまは柵を設置)

論文(下記pdf)の著者で冶金考古学のR.バラスブラマニアム(R. Balasubramaniam)教授は、鉄、酸素、水素で形成された化合物ミサワイト(misawite)の薄い層を鉄柱の表面から発見しています。この層は、鉄に含まれるリンの含有量が高く、石灰が存在しないことで触媒的に形成され、鉄柱の耐久性をさらに高めていました。この鉄柱を「古代インドの高度な冶金技術の生きた証し」と表現しています。

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表面に刻まれたサンスクリットの碑文 / Wikipedia

鉄柱の起源も謎に包まれています。古代インド王朝のグプタ朝チャンドラグプタ2世が在位していた4から5世紀ごろまでさかのぼります。広く流布している説の一つは、ヒンドゥー教の神ヴィシュヌに捧げられた勝利の記念碑として、ビディシャ近郊にあるウダヤギリ石窟寺院群内に建てられました。かつて頂部には、インド神話に登場するヴィシュヌの乗り物である聖鳥ガルダの像があったと言われ、この像は歴史の中で失われたとするものです。

文化遺産活動家で教育者のビクラムジット・シン・ループライ(Vikramjit Singh Rooprai)氏が提唱する別の説によると、鉄柱はインドの高名な天文学者ヴァラーハミヒラが発注した可能性があると言います。「彼の著書の一つである『スールヤシッダーンタ』には、天体の位置、日食、その他の天文現象を計算する方法が詳述されているのですが、その計算にあたり高い柱を使っていたと考えられている」と指摘しています。

下記動画では「起源の謎」に言及し、古代インドの長編叙事詩「ラーマーヤナ」の主人公「ラーマ」が設置したのではと指摘します。鉄柱に刻まれたサンスクリットの碑文には「設置した王は別の世界に去った」と地球外生命体が示唆され、計測や時間などの数学的目的があったのでは? 依然、起源は謎のままです。

修復建築家で文化遺産の専門家であるプラヤ・ナガル(Pragya Nagar)氏は、「単に保存され、驚嘆される遺物や記念碑を超えて、伝統的な知識や先住民の慣習の宝庫として歴史を見ることが不可欠だ。この包括的なアプローチは、より持続可能な未来への道を切り開く可能性を秘めている」としています。

Delhi Iron pillar
Iron pillar of Delhi / Wikipedia

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