香港のアカデミー賞と言われる「香港電影金像奨」で最優秀作品賞にノミネートされている映画「十年」は、ボランティアが中心になって制作した自主製作映画です。2015年12月17日に公開され、当初は単館で上映されただけでしたが、世界的なヒットを記録している映画「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」に匹敵する興行成績を上げました。
監督の一人である伍嘉良氏は「これほどの反応は予想していなかった」「香港の多くの人に響くものがあった」と話しています。
注目の「香港電影金像奨」は、4月3日の授賞式で発表されます。(追記:4/4 【最佳電影】最優秀作品賞 受賞)
1997年に香港が英国から返還されたとき、中国は香港に「高度な自治権」を向こう50年間にわたって与えることに同意しました。
映画「十年」は、今から約10年後の2025年を舞台に、中国政府の影響力が一段と強まる香港社会をテーマに 5つの短編で構成され、どのストーリーも50年を待たずして中国が香港を支配するに至ったディストピアを描いています。
香港の未来に絶望したようなシーンが多く出てきますが、周監督は究極的なメッセージは希望に満ちたものだと主張。「絶望を見て取る観客もいるが、上演後にその目を見て話しかけてみると、香港が抱える問題への解決策を探ろうとする熱意にあふれている」と語ります。
- Ten Years (2015 film)(en:Wikipedia)
- Jû-nen (2015)(IMDb) Ratings: 7.1
- Ten Years(Google検索)
映画「十年 Ten Years」 監督:クォック・ジョン(郭臻)、ウォン・フェイパン(黃飛鵬)、ジェヴォンズ・アウ(歐文傑)、キウィ・チョウ(周冠威)、ン・ガーリョン(伍嘉良)。
- 映画「十年」Ten Years – Japan(公式サイト)
- 十年 Ten Years – Japan(Facebook)
中国のインターネットサービス大手 騰訊控股(テンセント)は、香港電影金像奨の授賞式のネット中継を取りやめました。中国による香港支配が強まる近未来を描く自主製作映画「十年」が、最優秀作品賞の候補となったためとみられています。
- 若手映画監督が描く香港の近未来 希望か絶望か(3/20 CNN)
- 中国にとって許しがたい映画が香港で大ヒット(3/11 The Economist)
- テンセント、香港映画賞授賞式のネット中継中止(2/24 日本経済新聞)