9月10日午後9時(日本時間11日午前10時)、2004年米大統領選の民主党候補ハリス副大統領と、共和党候補のトランプ前大統領は初のテレビ討論会で対決します。ハリス氏にとっては政策の優先順位を示すとともに、自身の知性を侮蔑し、人種差別的、性差別的な攻撃を浴びせるトランプ氏をはね返す強さを見せる機会です。トランプ氏にとっては、ハリス氏の勢いを鈍らせるチャンスとなります。大半の世論調査では、全米および激戦州の半数超でハリス氏がやや優勢ですが、トランプ氏も11月5日の選挙で勝てる距離に付けています。
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米国のABCニュースは9月4日、同局主催で9月10日にペンシルベニア州フィラデルフィアで行う大統領候補による討論会について、民主党のカマラ・ハリス副大統領と共和党のドナルド・トランプ前大統領が参加基準を満たしたこと、両者が「討論会のルール」を承諾したことを発表しています。
- ディベートの時間は、2回のCMを挟んで90分。
- 司会は同局の「ワールド・ニュース・トゥナイト」のアンカーを務めるデビッド・ミュアー氏と「ニュース・ライブ・プライム」のアンカーを務めるリンゼイ・デイビス(Linsey Davis)氏の2人。
- 開始時のスピーチはなく、討論後のスピーチは1候補につき2分間。
- 9月3日にコイントスが行われ、トランプ氏が勝利。同氏は討論後に行われるスピーチをハリス氏の後にすることを選び、ハリス氏は視聴者から見て右側(ステージ左側)の演壇位置を選んだ。
- 備品や事前に書いたメモを壇上に置くことは許されない。
- テーマや質問は、選挙陣営や候補者と事前に共有されない。
- 候補者にはペン、メモ用紙、水1本が渡される。
- 候補者の持ち時間は、質問に対する回答が2分、それに対する反論が2分、補足説明などのために1分が与えられる。
- 候補者が発言する際には、もう一方の候補者のマイクはミュートされる。
- 候補者同士は質問できない。
- 各候補のスタッフは、CM中に候補者と話すことができない。
- 会場には聴衆は入らない。
民主党の大統領候補は、6月の討論会をきっかけにバイデン氏からハリス氏に交代しました。9月にはノースカロライナ州、ペンシルベニア州、ミシガン州など激戦州を含む複数の州で、期日前投票や郵便投票が始まることから、「有権者は討論会後すぐに投票用紙に記入する可能性がある」との指摘もあり、初めての直接対決は今後の選挙戦に大きな影響を与える可能性があります。
この討論会は、テレビを見守る何千万人もの国民に対し、ハリス氏が自身の政治的アイデンティティーを確立するチャンスとなります。有権者の間では「バイデン氏とトランプ氏の再対決はうんざり」という声が繰り返し聞かれていただけに、ここ数回の大統領選の民主党候補に比べて知名度が低いことは、ハリス氏にとって大きな武器になるかもしれません。
法廷での経験豊富なハリス氏は、6月の討論会におけるバイデン氏よりも効果的に、トランプ氏の虚偽にリアルタイムで反論できるかもしれません。トランプ氏にとって今回の討論会は、ハリス氏は国政を運営する準備ができておらず、自分の方がその仕事に適任だと主張する絶好のチャンスとなります。
- テレビ討論会(Google検索)
- 【速報中】ハリス氏「機会の経済を創出」と最後の訴え(9/11 日本経済新聞)
- 米大統領討論会 ハリス氏の経済政策、主流派の経済学者から「支持」(9/11 CNN)
- Debate Live Updates: Harris Put Trump on Defensive, and Kept Him There(9/11 The New York Times)
- 討論会成果自賛のトランプ氏、側近らは「失敗」と低評価(9/12 ロイター)
調査会社ニールセンのデータによると、今回の討論会の視聴者数は6,710万人と、6月に行われたバイデン大統領とトランプ氏の討論会(約5,100万人)を上回ったようです。
テレビ討論会の終了直後にテイラー・スウィフト氏は、SNSに「子なしの猫好き女性(Childless Cat Lady)」の署名とともに、カマラ・ハリス氏とティム・ウォルズ氏の支持を表明しました。