11月14日、2024年のIMD世界デジタル競争力ランキングが発表されました。デジタル競争力ランキングは8回目になり、主要67カ国・地域を対象に、政府や企業、社会の変革につながるデジタル技術を導入・活用する能力について評価しています。米国は昨年に1位となったものの、4位に後退しています。日本は2018年の22位から年々低下し、今回の韓国(6位)や台湾(9位)、中国(14位)などから取り残され、昨年は過去最低の32位となっています。今年は順位を1つ上げて31位です。デジタル技術に対する適切な人材と政策があれば、このデジタル格差を取り戻すことができるとしています。
- The right talent and policies can close digital divide in era of fast-moving emerging tech(11/14 IMD)
- 世界デジタル競争力ランキング、スイスは2位に上昇、日本は31位(11/21 JETRO)
ランキングレポートは、「最先端の人工知能(AI)、ブロックチェーン、量子コンピューティングなどは、デジタル格差を広げる可能性がありますが、イノベーションを推進し、産業、経済、社会を再構築することもできる」と述べています。
WCCの上級エコノミストのホセ・カバリェロ(José Caballero)氏は、「これらのテクノロジーを効果的に活用する国は、デジタル競争上の優位性を高め、持続的な経済成長、生産性の向上、世界的な影響力の拡大につながる可能性が高くなります。これを測定できるランキングの主要なデータには、ハイテク特許付与、知的財産権、電子政府などがあります」と述べ、そして「米国と中国の対立や、中国国内の技術競争はデジタル環境を分断し、他国がデジタル技術を開発・利用する方法だけでなく、各国の国際競争力にも影響を与えている」と述べています。
デジタル競争力ランキングの評価は、(1)知識:人材や教育・訓練、科学に対する取り組み、(2)技術:規制枠組みと資本、技術的な枠組み、(3)将来への準備:デジタルトランスフォーメーション(DX)に対する社会の準備度合いの3つの要素からランク付けし評価するものです。これらの各要素は3つのサブ要素に分割され、計9つのサブ要素、59の評価基準で構成されます。
首位シンガポールの強みは、都市管理、ハイテク特許取得数、銀行・金融サービス、官民パートナーシップなどです。人材、規制枠組み、適応姿勢、ビジネス敏捷性、IT統合の「サブ要素」でも1位となっています。2位のスイスは、ハイテク輸出(9位)、電子参加(11位上昇して27位)、サイバーセキュリティ(11位)で大きく進歩し、知的財産権、国際経験、通信技術、知識移転、外国人の高度なスキルを持つ人材が主な強みとなっています。全体順位でも前年の5位から2位に躍進しました。3位のデンマークの強みは、従業員研修の質、優れた国としての信用格付け、機敏な企業とグローバル化に対するオープンな姿勢、効率的な電子政府、安全なインターネット・サーバーの展開にあります。
日本は、「知識」については前年から3つ順位を下げて31位、「将来への準備」は6つ順位を下げて38位でしたが、「技術」では6つ順位を上げて26位とした結果、全体順位で31位となっています。
前回と同様に高評価を得た項目では、高等教育での教師1人当たりの学生数(3位)、100人当たりの無線ブロードバンドの普及率(2位)、国民と政府間のやり取りを促進するオンラインサービスの活用(1位)、世界のロボットに占めるシェア(2位)、ソフトウエア違法インストールの割合(2位)などです。
また反対に、長年の低評価項目では、上級管理職の国際経験(67位)や、デジタルスキルの習得(67位)、企業の機会と脅威に対する対応の速さ(67位)、企業の俊敏性(67位)、ビッグデータや分析の活用(64位)などがあります。
- JAPAN DIGITAL TRENDS – OVERALL(pdf / IMD)