9月16日、過激派組織イスラム国(ISIS)により、2014年に性奴隷として人身売買され、脱走したヤジディ教徒のナディア・ミュラド(Nadia Murad Basee Taha)さん(23歳)が、国連薬物犯罪事務所(UNODC)の親善大使に就任しました。
UNODCの親善大使として残虐行為の生存者は初めてですが、ナディアさんは支持者を始め多くの人たち励まされ、人身売買の被害者の尊厳を守り、ヤジディ教徒コミュニティに希望を持たせたいとしています。
そして、ISISの性奴隷化と犯罪行為を明らかにするために就任の決断をしました。
ナディアさんは、数多くの親族とともにイラクの静かな農村で生まれ育ち、メイクアップアーティストを夢見ていました。
2014年8月3日のISIS襲撃により 9人兄弟姉妹のうち 6人はその場で処刑され、ナディアさんと2人の姉妹は奴隷として男女数千人とともに誘拐され、奇跡的に脱走に成功していました。
- Nadia Murad(Website) 公式サイト
- Nadia Murad (@NadiaMuradBasee)(Twitter)
ヤジディ教徒コミュニティにおいてはレイプが恥とされることや、性暴力を明らかにした女性や少女に対する報復への恐怖が、少ない被害者本人による告発数になっていると、ヤジディ教徒の活動家は見ています。HRW(ヒューマン・ライツ・ウォッチ)による聞き取り調査(ビデオあり)をご覧ください。
- イラク:クルド系少数宗派ヤジディ教徒が結婚・改宗を強要される(10/12, 2014 HRW)
−− 被害者・目撃者が伝える「イスラム国」の捕虜に対する残虐な扱い −−
国連本部でナディアさんは時折声を震わせながら、現在も3,200人以上いるというヤジディ教徒の救出や、ジェノサイド(集団殺害)や人身売買の被害者らを難民などとして受け入れるよう、国連加盟の各国に呼びかけています。
Nadia Murad Basee Taha (ISIL victim) on Trafficking of persons in situations of conflict – Security Council, 7585th meeting(16 Dec 2015 / UN Wab TV)