工業高校の授業で特に好きな学科が電気製図でした。「描く」という作業工程?が好きだったのでしょうね(^^) 製図用器具のカラス口(からすぐち、烏口、ruling pen)は製図用の特殊なペン先です。ペン先の形状が烏のくちばしに似ていることからこの名で呼ばれます。
二枚の細く加工された鉄板からなるペン先を持ち、ネジによって鉄板の間隔を調整することで線の太さを変更することが出来ます。ペン先をインクに漬け、間に保持しながら線を引きます。細く均一で、連続した綺麗な線を引くことができます。
製図用具の中でカラス口(烏口)は扱いが難しい筆記用具で、ペン先が汚れて均一の綺麗な線にならなかったり、インクを付けすぎボタッと滴り落ちて、完成寸前の図面をダメにしたことが何度もありました。線幅も揃えて直線と曲線を綺麗につなげて描け、最後までミスなく綺麗な図面を描けたときの「達成感」は、他の教科では得られないものでした(笑)
現在はCAD(computer-aided design)システムがありますが、1930年(昭和5年)製のカラス口で点線を描く製図用器具があります。コンピュータという道具がない時代は、専門(職人)の人が必要に迫られて、独自の道具(ツール)を作っています。
YouTube動画は、歯車とカム機構を組み合わせて、烏口で均一な他種類の点線を描いています。キツツキみたいで楽しく面白いツールです。私は使う機会がありませんでした(^^)
さまざまな専門職や職人さんの世界が技術革新で変化しています。必要性を失い廃れて消えていく道具やノウハウもたくさんあります。ただ、人間は常に新しいアイデアを考え、道具やノウハウを創り出して新たな問題に対処してきました。どんな時代になっても人間は止めないでしょう。