コンクリートはそこらじゅうにあり、道路、建物、橋などの建設に使われていますが、過去2,000年間、セメントを使いコンクリートを固める技術は大きく進歩せず、世界最大の炭素排出源の1つとなっています。
起業家のトム・シューラー(Tom Schuler)氏が、コンクリートを建材でありながら大気中のCO2を閉じ込める炭素吸収源に変えられる可能性がある革新的製法をいち早く紹介しています。
- コンクリートによる二酸化炭素排出量をマイナスにする方法とは|トム・シューラー|Countdown(TED)
- TED Speaker/TED Attendee: Tom Schuler(Cement entrepreneur)
- Japanese translation by Kana Asenjo-Kagamihara. Reviewed by Tomoyuki Suzuki.(日本語字幕を読む)
セメントは、コンクリートをくっつける「糊」のようなものですが、セメントをつくるには、石灰石とその他の原料を窯に入れて、とても高い温度で燃やします。この過程でできる副産物のひとつが CO2つまり二酸化炭素です。セメントを1トンつくると、1トン近い量のCO2が大気中に排出されます。その結果セメント産業は、産業界で2番目に多くのCO2を排出しており、世界の総排出量の8%を占めています。
いまの同じ設備と原材料を使用しますが、石灰石の使用量が少なく、窯の温度も低くて済み、結果としてCO2排出量が最大30%削減できます。私たちのセメントは水と反応しません。コンクリートをCO2で硬化させますが、そのCO2はアンモニア工場やエタノール工場などの産業施設の排ガスから回収したもので、回収しなければ大気中に排出されていたものです。硬化中、セメントとの化学反応により、CO2が分解され捕捉された炭素で石灰石が生成されて、その石灰石によりコンクリートが固まります。
生コンクリート用の新しい技術はテスト中で、インフラへの応用も開始しています。また、さらなる研究も推進し、二酸化炭素吸収源となり得るコンクリートの開発を目指しています。
化学技術とCO2再利用により、私たちはコンクリート産業を変革し、地球上で2番目に多く使用されている原料を炭素吸収源へと転換しようとしているのです。
- solidiatech.com(Website)
- @Tom_Schuler