DARPAは、26年目となる世界最大級のコンピュータ・セキュリティ・イベント Black Hat USA 2023(8月5日〜10日)において、トップのコンピュータ科学者、AIの専門家、ソフトウェア開発者などに AI・サイバー・チャレンジ(AIxCC)への参加を呼びかけました。これは、AIとサイバー・セキュリティの統合によってイノベーションを推進することを目的とした2年間のコンテストです。新世代のサイバー・セキュリティ・ツール作成を目指します。
- DARPA AI Cyber Challenge Aims to Secure Nation’s Most Critical Software(8/9 DARPA)
ソフトウェアの脆弱性を自動的に発見して修正し、サイバー攻撃から重要なインフラを守るというコンテストに、国内トップクラスの AIおよびサイバーセキュリティ人材が挑戦します。 - Biden-Harris Administration Launches Artificial Intelligence Cyber Challenge to Protect America’s Critical Software(8/9 The White House)
DARPAの AIxCCプログラム・マネージャーのペリー・アダムス(Perri Adams)氏は、「AIxCCは、国際社会の最大課題の1つであるサイバー・セキュリティへの対処を支援するAIシステムを構築するために、AIトップ企業間との初のコラボレーションが実現します」と述べています。また、「過去10年間、AIを活用した有望な新しい機能開発を見てきました。責任を持って使用すれば、このテクノロジーは主要なサイバー・セキュリティ問題に適用できる大きな可能性があると考えられます。重要なソフトウェアを大規模に自動的に防御することで、国家全体や世界全体のサイバー・セキュリティに多大な影響を与えることができます」と述べています。
AIxCCでは、最先端のテクノロジーとAI専門知識を競合他社に対抗できるようにするために主要なAI企業を結集します。Anthropic、Google、Microsoft、OpenAIは、DARPAと協力して競合他社が最先端のサイバー・セキュリティ・システムを開発できるようにします。
また、Linux Foundationのプロジェクトである Open Source Security Foundation (OpenSSF) は、重要なインフラやソフトウェア・サプライチェーンのセキュリティなど、サイバー・セキュリティに対処できる AIシステムの作成において、参加チームを指導するチャレンジ・アドバイザーとして機能、支援します。
AIxCCでは、Funded Track(SBIR/STTR)と、Open Trackの2つのトラックから参加できます。すべての参加チームは準決勝フェーズの予選イベントに参加し、上位得点チーム(最大20チーム)が準決勝大会に招待されます。このうち、上位得点チーム(最大5チーム)が賞金(200万ドル/約2億9,000万円)を獲得して最終フェーズと競技会に進みます。最終大会の得点上位3名には追加の賞金が与えられます。
AIxCCコンテストは、毎年ラスベガスで開催されるハッカー大会(Hacker Convention)のDEF CON で開催され、Black Hat USAでの追加イベントも開催されます。どちらも国際的に認知されたサイバー・セキュリティ・カンファレンスであり、毎年8月に世界中から数万人の専門家、実務家、観客がラスベガスに集まります。AIxCCは準決勝フェーズと決勝フェーズの2つのフェーズで構成されます。準決勝大会と決勝大会は2024年と2025年にの DEF CONで開催されます。
大統領と国防長官の直轄組織で、米軍から直接的な干渉は受けない「DARPA」。マネージャーのアダムス氏は「成功すれば、AIxCCは次世代のサイバー・セキュリティ・ツールを生み出すだけでなく、重要なインフラを守ることで市民社会をより良くするために、AIをどのように活用できるかを示すことになるだろう」と述べています。
- SBIR.gov(Small Business Innovation Research)
- SBIR(Small Business Innovation Research)制度 特設サイト(運営/内閣府)
DARPAの主な活動は軍事利用を見据えた最先端科学技術の開発です。サイバー空間は、国家と市民や企業活動、そして防衛/軍事活動に多大な影響があります。日本はあれこれ「言い訳」をしている段階ではないと思います。