2023年9月8日深夜に、北アフリカのモロッコ中部を震源としたマグニチュード6.8の地震がマラケシュ=サフィ地域を襲いました。モロッコ内務省は少なくとも2,946人が死亡、5,674人が負傷したと発表しています。また、12世紀に遡る世界遺産であるマラケシュの旧市街のいくつかの建物が倒壊しています。WHOはマラケシュとその周辺地域で、10万人の子供を含む約30万人が影響を受けたと推定しています。(9/14更新)
- 2023 Marrakesh-Safi earthquake(en:Wikipedia)
- モロッコ地震 死者2000人超に 医師“医療物資が不足 支援を”(9/10 NHK)
モロッコ内務省は、被害の大部分は都市や町から離れた場所で発生したと述べています。地震の震源地であるアル・ホウズ州(Province d’Al Haouz)では、多くの家屋が倒壊し住民が瓦礫の下敷きになりました。震源地に近いアミズミズ村(Amizmiz)では、救助隊員が手を使って瓦礫を選別、20人の消防士と兵士が家の残骸を捜索、少なくとも2人の遺体を回収しました。マジャット村にある50軒の伝統的な家屋のほぼすべてが破壊され、住民数10人が死亡しています。アスニ(Asni)の家屋の90%が破壊されました。
マラケシュの南に位置したタルーダント市(Taroudant)では、約200人が死亡しています。市内のいくつかの古い地区や歴史地区が大きな被害を受けました。タルーダントは城壁に囲まれ「マラケシュの祖母」として知られています。16世紀、サーディ王朝(Saadi Sultanate)は、王都をマラケシュに移す前に一時的に首都としました。
G20首脳会議出席の首脳から次々に哀悼の意が表明され、岸田総理大臣は9日夜、モロッコのアハヌッシュ首相宛てにお見舞いのメッセージを出しました。その上で「被害に遭われた方々の回復と被災地の一日も早い復興を心からお祈りします。日本は現地のニーズを踏まえて必要とする可能な限りの支援を行う用意があります」としています。
スペイン、インド、アルジェリア、アルゼンチン、フランス、ドイツ、チェコ、ポルトガル、ルーマニア、クウェート、イスラエル、オマーン、台湾、タイ、チュニジア、トルコ、英国、米国、欧州連合および国連などがモロッコへの援助と支援の提供を申し出ています。モロッコ政府は海外援助を正式に求めていませんが援助を受け入れています。ただ、調整不足と遅れが出ています。
- Powerful quake in Morocco kills more than 2,000 people and damages historic buildings in Marrakech(9/10, MARRAKECH, Morocco / AP)
(9 Sep 2023) A rare, powerful earthquake struck Morocco late Friday night, killing more than 1,000 people and damaging buildings from villages in the Atlas Mountains to the historic city of Marrakech. (Sept. 9)
<世界遺産マラケシュ旧市街>
モロッコ南部の中心都市。モロッコの国名はこの都市に由来しています。ムラービト朝時代(1056~1147)に建設され、多くの建造物が残っている。なかでもクトゥビヤのモスクと高さ77mのミナレット(12世紀後半)は、いまでも新たに建設する際の手本であり、他にベン・ユースフのマドラサ(16世紀再建)、サアド朝(1554~1669)の王廟などが有名です。しかし、現在は急速な開発の波にさらされ、多くの建物が崩壊の危機に瀕しています。
- Medina of Marrakesh(UNESCO)