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Made in Ukraine Drone

ウクライナが FPVドローンを完全国産化、中国製部品ぬきで低コスト

3月下旬、ウクライナのドローンメーカーであるVyriy Drone(ヴィリー・ドローン)は、100%ウクライナ製の FPVドローンの最初の1,000機を正式にウクライナ軍に引き渡しました。2年前の創業時から完全国産化を目標に掲げ、さらに絶対無理と思われた中国製部品を使うドローンよりも製造コストを抑えられたとして画期的としています。

Made in Ukraine Drone
部品の100%がウクライナ製のFPVドローン / Vyriy Drone

ウクライナのドローン生産については、戦争が始まって以降は大半の部品は中国からもたらされていましたが、いまでは大半の部品が国内で生産されています。ただ、価格面で中国に勝つのは不可能だというのが衆目の一致するところでした。絶対に無理だと。

ウクライナのアナリスト、セルヒー・フレッシュ(Сергій Флеш)さんはテレグラム・チャンネルで「競争、時間、生産量、ビジネスプロセスの最適化によって奇跡が起こったのです」と述べています。フレッシュ氏は、モーター、フレーム、プロペラなど、いくつかの国産部品の価格が過去2年で平均およそ50%下落したことを示すグラフを掲載しています。

Vyriy Drone FPV 100
Перша тисяча 100% українських FPV-дронів – уже прямує на фронт! 💪🇺🇦 / Vyriy Drone

ドローンのフレームやプロペラは、生産設備に大規模な投資をせず比較的容易に製造できます。フライトコントローラーなどは、ドローン製造団体ワイルド・ホーネッツ(Wild Hornets)が、自動組み立てラインで製造するようになり、さらにバッテリーの内製化にも乗り出しました。

軍事用のFPVドローンでとりわけ難しい課題になるパーツの一つに、夜間などの運用で必要になるサーマルイメージング(熱画像)カメラがあります。これまで、ウクライナは価格と性能の要件を満たす中国のサプライヤーを苦労して探してきました。ウクライナではコスト面の制約が厳しく、400ドル(約5万7000円)のFPVドローンに、2000ドル(約29万円)もする軍用サーマルカメラを搭載するというのは現実的ではありません。

ウクライナのスタートアップ、Odd Systems(オッド・システムズ)は2024年10月、国産のサーマルカメラを生産すると発表。開発した Kurbas-256(クルバス-256)は解像度256×192ピクセル、価格は1万フリブニャ(約3万5000円)で、同等の中国製品より20%ほど安く、量産できるようになれば価格はもっと下がると同社は説明しています。

Курбас-256
Odd Systems запускає тепловізійні камери Курбас-256. / Yaroslav Azhnyuk

重要なのは、Kurbas-256が一般産業用でなくFPVドローン用に設計されている点です。市販の中国製サーマルカメラを搭載したドローンを実戦で使った操縦士たちに話を聞き、彼らの意見を取り入れて設計を変更しています。一部の中国製カメラは内部に結露が発生していましたが、Kurbas-256は密閉構造になっています。さらにキャリブレーションや映像調整なども実戦運用から設計されています。

ウクライナは今年、ドローンを400万機以上生産する見通しとなっているそうです。ドローン製造におけるウクライナ製の割合(約80%)も着実に増えていきます。こらからウクライナにとって重要な輸出収入源にもなりそうです。近年は世界中で軍事的なドローン生産能力の重要性が認識されてきました。

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