10月6日、スウェーデンのカロリンスカ研究所は、2025年のノーベル生理学・医学賞(Nobel Prize in Physiology or Medicine)を、大阪大学の坂口志文特任教授(74歳)、米システム生物学研究所のメアリー・E・ブランコウ(Mary E. Brunkow)氏(64歳)、米ソノマ・バイオセラピューティクスのフレッド・ラムズデル(Fred Ramsdell)氏(64歳)に授与すると発表しました。坂口氏は免疫反応を抑えるブレーキ役となる「制御性T細胞」を発見しました。アレルギーや1型糖尿病などの自己免疫疾患、がんといった病気の新たな治療法の開発に道を開きました。
- Nobel Prize in Physiology or Medicine 2025(The Nobel Foundation)
- They understood how the immune system is kept in check(The Nobel Foundation)

- メアリー・E・ブランコウ(Mary E. Brunkow)、1961年生まれ。米国プリンストン大学にて博士号取得。米国シアトルのシステム生物学研究所にてシニアプログラムマネージャー。
- フレッド・ラムズデル(Fred Ramsdell)、1960年生まれ。1987年、米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校にて博士号取得。米国サンフランシスコ、ソノマ・バイオセラピューティクス社の科学顧問。
- 坂口志文(Shimon Sakaguchi)、1951年生まれ。1976年に京都大学医学部、1983年に京都大学で医学博士号を取得。大阪大学免疫学フロンティア研究センター特任教授。
授賞理由は「免疫の抑制に関する発見」。坂口氏が発見した「制御性T細胞」は免疫細胞の活動を制御する役割を担います。免疫はウイルスや細菌など外敵と、自分の体をつくる細胞を区別し、外敵だけを排除する仕組みです。
しかし、自分の細胞と外敵をうまく区別できなくなると、自分自身を攻撃して傷つける自己免疫疾患になってしまいます。制御性T細胞は異常な免疫反応を抑えます。
米国の2氏は自己免疫疾患に関わるFoxp3という遺伝子を発見しました。後に坂口氏らはFoxp3が制御性T細胞の成長や働きに欠かせないことを突き止めました。

- 制御性T細胞(AIモード/Chrome)
制御性T細胞を疾患との闘いにどのように活用できるかを、研究者が検証している例は数多くあります。メアリー・ブランコウ、フレッド・ラムズデル、そしてシモン・サカグチは、革新的な発見を通して、免疫システムがどのように制御され、抑制されているかについての基礎知識を提供しました。彼らは人類に多大な恩恵をもたらしました。(Popular information)