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STAP細胞と再生医療にみる科学万能の危うさ

ヒトを含めた哺乳類においては、原則として受精卵以外に万能細胞は存在しないが、この受精卵を人工的に培養した万能細胞で、人類が最初に手にしたのはES細胞です。

マウスのES細胞(緑)/ Wikipedia
マウスのES細胞(緑)/ Wikipedia

画期的な万能細胞とされるSTAP細胞は存在するのか? 存在するにしても「STAP細胞の研究論文(Haruko Obokata)に多数の疑義」で明らかなように、研究機関のあり方や研究者の倫理、そして広く人間教育、市民の科学リテラシーの向上など、数多くの問題が指摘されています。

世界中の科学コミュニティや私も含めた一般市民が、一つの「研究論文」について、これほど広範な意見を表明した初めてのケースだと思います。

ネイチャーに発表された論文の共著者である、米ハーバード大のチャールズ・バカンティ(Charles Alfred Vacanti)教授は、再生医学の研究として1997年に「ミミネズミ」を作製。彼の名にちなんで「バカンティマウス」とも言われ、当時生物工学に関する倫理的な議論を引き起こしています。

The Vacanti mouse / en:Wikipedia
The Vacanti mouse / en:Wikipedia

バカンティ教授は、生物の成体に極めて少数存在する小さなサイズの細胞が、眠っている多能性細胞ではないかとの仮説を提唱しています。

研究開発競争が促す科学万能の危うさは、組織管理や精神論、教育論だけでは済まない段階になっています。

特に生命に関わる研究分野では、外部からの批判に晒される透明性と情報共有の仕組みが大前提のように思います。

生命科学の研究者を目指す大学院・博士課程の学生「あぴと」さんは、分かりやすい時系列まとめ「STAP騒動の行く末」で、「科学コミュニティも新時代に入ったと感じる」としています。

SFホラー映画「ザ・フライ」「スプライス」や、1955年アラン・レネ監督「夜と霧」なども含めて、生命倫理教育に役立つ広範なジャンルの「映画作品のリスト(251作品)」は素晴らしいと思います。

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