世界銀行のビジネス環境ランキング(Doing Business)不正疑惑

9月16日、世界銀行は、ビジネス環境の国別ランキングを示し注目度の高い年次報告書「Doing Business」の発刊を取りやめると発表しています。データ収集の不規則性を調査した結果、2018年版の同報告書で、上層部から中国のランクを引き上げるよう「不適切な圧力」がかかっていたことが判明したとしています。中国の順位が85位(起草段階)から、前年並みの78位に不正に引き上げられたとしています。背景に世界銀行が各国に出資金の増額を求めていた時期に、有力な拠出国である中国に配慮した可能性が指摘されています。2020年版ではサウジアラビアのデータ取扱いをめぐる問題が報告されています。

中国は78位 / Doing Business 2018(The World Bank)

「ビジネス環境の現状」報告書は2004年から毎年発刊しており、2018年は15周年になります。中国の前年(2017年版)のランキングは78位、この順位付けに対し、中国当局は「中国の現状を正しく捉えたものではない」と繰り返し世界銀行に抗議を行っていました。

その後、2018年版報告書の起草段階で、中国の順位がさらに下がって85位になりそうだとの報告が、世界銀行内部で行われました。それを受け、上層部からの圧力により、中国の順位が上がる方向での計算方法の調整が行われ、中国の順位が前年と同じ78位まで上昇したということです。

中国のビジネス環境ランキングは、2017年と2018年が78位、2019年が46位、そして2020年版では31位(下図参照)に急上昇(改善)しています。日本のランキングは2018年が34位、2019年39位、最新2020年版では29位でした。

中国は31位 / Doing Business 2020(The World Bank)

サウジアラビアは、「ビジネス環境の現状」報告書について、かねてから「実情を反映していない」との不満を表明していました。サウジアラビアのビジネス環境ランキングは、2018年と2019年は92位でしたが2020年版では62位に急上昇しています。

Doing Business 2018 / The World Bank

10月11日、国際通貨基金(IMF)理事会はクリスタリナ・ゲオルギエヴァ(Kristalina Georgieva)専務理事への全面的な支持を再確認。理事会は、ゲオルギエヴァ氏が世界銀行在籍時に報告書に記す中国の評価を高くするよう職員に圧力をかけたとされる問題を調査していました。
10月12日、IMFのチーフエコノミスト、ギタ・ゴピナス氏は、記者団に対し「この件について数日中に詳細が発表されるだろう」とした上で、「再度明確にするが、IMFはデータや予測の信頼性および完全性を確保するという点ですでに強固なシステムを持っている」としました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です