違法操業や海賊行為、原油流出など、目に見えない犯罪が海の生態系を破壊していますが、目に見えないものを止めることはできません。衛星データとAIの力を利用して、海洋犯罪者を現行犯逮捕するために、海洋保全の専門家トニー・ロング（Tony Long）氏が、海におけるすべての産業活動を可視化する史上初のライブマップを説明します。2023 Audacious Projectからの助成を受けたGlobal Fishing Watchのチームが、自然保護活動家や研究者、一般市民が貴重な水生生物の生息地を保護するために、この地図を世界に自由に公開する方法を紹介します。
(この野心的な取り組みは、グローバルな変化を促し、資金を提供するTEDのイニシアチブである「Audacious Project」の一環です。）
- TED Speaker/TED Attendee: Tony Long（Ocean monitoring expert）
- Global Fishing Watch（Website）
世界中の海産物の5分の1は違法に漁獲されたもの、あるいは単に報告されていないものだと考えられています。この犯罪は235億ドル（約3兆3,300億円）に上ります。そして、この犯罪は環境科学を歪め、漁業の持続可能性に影響を与え、海の生態系と健康をおびやかし、主に貧しい国の何百万人もの人々の生活に影響を与えています。
海の未来をおびやかしているのは、違法操業だけではありません。海では原油の流出が発見されず、それゆえ罰せられないままになっています。海運、石油・ガス開発、水産養殖業など、監視の目が行き届かないままに、大規模な開発や産業化が続いています。そして、気候変動によってすでにストレスを受けている海洋に、さらに圧力をかけているのです。
日本や韓国のパートナーと協力していたときに、北朝鮮の海域で国連の制裁に反する違法操業が行われている疑いがあると言われました。しかし、漁船がGPSの位置情報を共有していないため、存在していないことになっていました。そこで、衛星を利用したレーダーや光学画像に注目して、その海域を照らし出してみました。その結果、約1,000隻の大船団（暗黒船団）が浮かび上がりました。違法操業としては過去最大級の事件です。
- AIと衛星が暴いた！日本の食脅かす中国の「暗黒船団」―対北制裁にも違反（7/30, 2020 志葉玲）
私たちは、GPSの位置データと数百万ギガバイトの衛星画像を使用して船舶名と船籍、航路などを特定し、AIを使用して100万隻以上の外航船舶の地図を作成し監視します。約200か国が2030年までに海洋の30％を保護すること（30by30）を約束しているため、これは非常に重要になります。そして、その約束を守るためにはこのようなツールが必要になるでしょう。
地球上のすべての生命は、海に依存しています。私たちが呼吸する酸素を供給し、気候を調整し、何十億もの人々が頼る食料を供給しているのです。しかし、海洋資源は無尽蔵にあるわけではなく、私たちはそれを保護しなければなりません。私たちは今、かつてないほどそれを実現するチャンスを手にしています。私たちは、海全体のモニタリングシステムを無料で公開することができるのです。
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Science Advances誌に掲載されたこの分析は、世界の漁業活動の衛星モニタリングにおける新時代の幕開けとなり、違法漁業と戦うために透明性を高めることの重要性を補強するものです。
- Tracking elusive and shifting identities of the global fishing fleet（1/18 Science Advances）
YouTubeは、「北朝鮮海域で横行する違法操業を摘発／2020/07/23」