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Iron Beam

待望されるレーザー兵器による対空防衛システム

レーザー兵器(Laser weapon)は、レーザーを利用した指向性エネルギー兵器の一種です。米国とイスラエルが共同で開発中の対空レーザー兵器戦術高エネルギーレーザーや、米国のAN/SEQ-3レーザー兵器システムなどがあり、イスラエルはアイアンビームIron Beam)を2025年に実戦配備するとしています。今年1月、英国のドラゴンファイア(DragonFire)が空中発射試験に成功、グラント・シャップス(Grant Shapps)国防相は12日、ロシアのドローンを撃墜できる高出力レーザー兵器を、ウクライナに供与できる可能性があると語っています。

Dragonfire
A DragonFire laser test-fired in the Hebrides Range in Scotland, January 2024

英国防省によると、ドラゴンファイア(DragonFire)と命名されたレーザー兵器は、1キロ離れた場所から1ポンド硬貨を攻撃するのに十分な精度を備えているとしています。1発約13ドル(約1,900円)でミサイルや航空機、ドローンなどを迎撃できるとされ、ミサイルに代わる低コスト兵器として期待されています。イスラエルのアイアンビームは1発2ドル(約310円)としています。

ロシアによるウクライナ侵略では、戦術弾道ミサイルや極超音速ミサイルなどの各種ミサイル攻撃とともに、イラン製シャヘド-136やロシア製ゲラン2などの安価な自爆ドローンによる攻撃が続いています。ドローンによる攻撃と対空防衛システムの費用便益分析では、シャヘド・ドローンの方が有利で、地対空ミサイルなどの対空防衛システムの約半分となっています。平均的なシャヘド・ドローンの費用は約2万ドル(約310万円)であり、対するIRIS-Tミサイルは1発あたり約43万ドル(約6,600万円)です。パトリオットミサイルのPAC-3弾は1発5億円とされています。

近年、防衛ミサイルのコストが盛んに議論されています。ウクライナやイスラエルの戦場、イエメンの反政府武装組織フーシによる紅海やアデン湾の艦船攻撃などで、低コストのドローン(無人機)が有効性を示していることが背景にあります。

ランド研究所の欧州部門幹部、ジェームズ・ブラック(James Black)氏は1月、「低コストのドローンとロケットは攻撃と防御の経済的な計算を変化させ、大量の安価な無人兵器を使って高度な防空・ミサイルシステムを圧倒する方が有利になった」と説明しています。

Iron Beam
Iron Beam: How Israel’s New Laser Weapon Works | WSJ

米コロラド大学国家安全保障イニシアチブセンター所長のイアン・ボイド(Iain Boyd)教授は、以下のようなレーザー兵器特有の問題点も指摘しています。

1.直線上にある目標にしか発射できない。
2.雨や霧、煙などが光のビームを散乱(威力の減少)させる。
3.レーザー兵器は大量の熱を発生させるため、大型の冷却システムが必要になる。
4.船や航空機に搭載された移動型レーザーはバッテリー充電が必要になる。
5.レーザーの熱で穴を空けるには、移動する目標に最大10秒間ほど照射する必要がある。

米国では軍需・防衛大手のボーイング(Boeing)、ロッキード・マーチン(Lockheed Martin)、ノースロップ・グラマン(Northrop Grumman)、レイセオン(Raytheon)はこぞって、国防総省向けにレーザー兵器のプロトタイプを開発、試験しています。また、長距離化やレーザーの高出力化と、AI連動の着弾と被害予測により、危険な目標を優先順位撃墜も可能になってきました。

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