7月30日、ロシア・カムチャツカ半島沖で、マグニチュード(M)8.8の大規模な地震が発生しました。地元当局者によると、最大4mの津波が観測され、避難指示が出されました。また、建物に被害が出ているほか、負傷者も報告されています。米地質調査所(USGS)によると、震源はペトロパブロフスク・カムチャツキーの東南東約119キロ。震源の深さは19.3キロと浅く、地震の規模は1900年以降歴代6位の海溝型地震です。
- 2025 Kamchatka Peninsula earthquake(en:Wikipedia)
- M 8.8 – 2025 Kamchatka Peninsula, Russia Earthquake(7/30 USGS)

ペトロパブロフスク・カムチャツキーの住民は、揺れはゆっくりと始まったが、次第に強くなり、数分間続いたと話しました。「揺れの強さと長さを踏まえ、建物から出ることにした」とし、「壁がいつ崩れてもおかしくないと感じた。揺れは少なくとも3分間続いた」と語っています。
同地方のメリニコフ保健相は国営通信タスに対し、数人がけがで治療を求めたと説明。「地震で負傷者が出ている。外に走り出る際に負傷した人もいれば、窓から飛び降りた人もいる。空港ターミナル内で負傷した女性もいる」と述べています。ロシア非常事態省はサハリン州セベロクリリスクの港と水産加工工場が津波で一部浸水したと明らかにしました。同省によると、幼稚園も被害を受けたが、ほとんどの建物は持ちこたえ、重傷者や死者は報告されていないということです。

千島・カムチャッカ半島地域では、M7以上の大地震とM8以上の巨大地震が頻繁に発生しています。1900年以降の114年間で、この弧沿いでは133回の大地震と12回の巨大地震が発生しています。
20世紀にこの島弧で発生した最大の巨大地震は、1952年11月4日に発生したM9.0のカムチャッカ地震で、これは現在までに観測史上5番目に大きな地震です。この地震の後、パラムシル沿岸で最大12mの遡上高を誇る壊滅的な津波が発生し、セベロ・クリリスク市に甚大な被害をもたらしました。
地震の発生するメカニズムはいろいろなものがあります。陸のプレートと海洋のプレートの運動に起因する地震、内陸の活断層が活動して発生する地震、火山体周辺でマグマの動きや熱水活動等が原因として発生する地震等があります。これらのうち、海のプレートと陸のプレートの境界に位置する海溝沿いで発生する地震を海溝型地震と呼びます。海溝型地震には、海のプレートと陸のプレートとの間のずれによって生じる地震(プレート間地震)と、海のプレート内部の破壊によって発生する地震(スラブ内地震)があります。
