3月18日、Googleはサイバーセキュリティ企業の「Wiz(ウィズ)」の買収で合意したと発表しました。買収額は320億ドル(約4兆8,000億円)、Googleとしては過去最大となります。Wiz, Inc.は2020年1月創業、米ニューヨークに本社を置くイスラエルのクラウドセキュリティのスタートアップ企業です。Wizは、フォーチュン100企業の45%を獲得したとしています。また、メディアで大きく取り上げられた数多くのクラウドの脆弱性を発見(Research)しています。
- Google announces agreement to acquire Wiz(3/18 blog.google)
- Wiz to Join Google Cloud: Making Magic Together(3/18 Wiz.io)

Googleは、「サイバーセキュリティとクラウド・コンピューティングはどちらも、幅広いソリューションを備えた急成長産業です。AIの役割の拡大とクラウド・サービスの導入により、顧客のセキュリティ環境は劇的に変化し、新たなリスクを防御し、国家の安全を守る上でサイバーセキュリティの重要性が高まっています」として、Google Cloudと Wizの組み合わせが、次のことを実現するとしています。
- セキュリティの設計、運用、自動化の方法を大幅に改善し、AI時代のあらゆる種類と規模の顧客にエンドツーエンドのセキュリティ・プラットフォームを提供します。
- 自動化されたセキュリティ・プラットフォームを提供することで、サイバーセキュリティ・チームを拡大します。
- セキュリティ制御の実装と管理にかかる顧客のコストが削減されます。
- AIの進歩により出現する新たな脅威から保護し、侵害を防止し、組織が侵害に効率的に対応できるようにします。
- マルチクラウド・セキュリティの採用を促進し、その結果、顧客が複数のクラウドを利用できるようになり、クラウド・コンピューティングのイノベーションと採用がさらに促進されます。
Wiz 共同創業者兼CEOのアサフ・ラパポート氏は、「Google Cloud は世界で最もスケーラブルで安全な製品を構築しており、私たちはこれらの最先端技術を活用して Wizを加速し、世界中のすべてのチームが可能な限り最先端のクラウド・セキュリティを得られるよう支援したいと考えています」と述べています。

Wiz はアサフ・ラパポート(Assaf Rappaport)、Yinon Costica、Roy Reznik、Ami Luttwakの4人によって創業されていますが、前身は2012年に設立したアダロム(Adallom, Inc.)で、2015年7月に Microsoftに3億2,000万ドルで買収されたと報じられています。
このアダロムは世界最先端の技術諜報機関で、イスラエル諜報部隊のユニット8200(Israeli Intelligence Corps’ Unit 8200)の元メンバーで、タルピオットプログラム(Talpiot program)の卒業生であるアサフ・ラパポート、Ami Luttwak、Roy Reznikによって2012年に設立されています。
- Google + Wiz: Strengthening Multicloud Security(3/19 cloud.google.com)
Google CEO サンダー・ピチャイ氏:「Google は創業当初からセキュリティに注力しており、オンラインでの安全確保においてリーダー的存在となっています。今日、クラウドで事業を展開している企業や政府は、さらに強力なセキュリティ ソリューションと、クラウド コンピューティング プロバイダーの選択肢の拡大を求めています。Google Cloud と Wiz が協力することで、クラウド セキュリティの強化と複数のクラウドの利用が加速します。」
Google Cloud CEO トーマス・クリアン(Thomas Kurian)氏:「Google Cloud と Wiz は、あらゆる規模や業種の組織にとってサイバーセキュリティをより身近で使いやすいものにするという共通のビジョンを共有しています。非常に複雑なビジネス ソフトウェア環境を含むサイバー攻撃をより多くの企業が防止できるようにすることで、組織はサイバーセキュリティ インシデントによって生じるコスト、混乱、手間を最小限に抑えることができます。」