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AIスーツケースによる視覚障害者ナビゲーション

2021年4月に毛利 衛氏の後任として、日本科学未来館(Miraikan)の館長に就任するIBMフェローの浅川智恵子氏に、「誰一人取り残さない」社会を実現するための科学技術とその展望について聞いています。また、浅川氏は視覚障害者の実社会におけるアクセシビリティと、生活の質向上を目的とする次世代移動支援技術開発コンソーシアム(Consortium for Advanced Assistive Mobility Platform: CAAMP)で、最新のAI・触覚・顔認識・ロボット・クラウド・センサー・測位・ナビゲーション技術などをパッケージにした、AIスーツケースの開発と実証実験に携わっています。

AIスーツケースの構成要素 / アルプスアルパイン

CAAMPは、2020年2月にアルプスアルパイン、オムロン、清水建設、日本アイ・ビー・エム、三菱自動車の5社によって設立され、AIスーツケースの実証実験を進めていました。昨年、東京でオリンピック・パラリンピックが開催される予定だったので、当初は来日したパラアスリートにAIスーツケースを使ってもらえたらと思っていたそうです。ところが新型コロナウイルスの影響で、実証実験自体も延期されています。

AIスーツケースを発想したのは、IBMフェローの浅川智恵子氏です。開発したスマートフォンのみを用いるアシストシステムでは、周囲の障害物などの把握、数センチレベルでの測位は困難。また、視力のある人が楽しんでいる町歩きや賑わい、ショッピング情報などに全くアクセスできていません。浅川氏は、「リアルタイムでこれを実現するには、自動運転車のセンサーが必要」と説明します。

浅川氏は、「AIスーツケースは視覚障害者という少数のユーザーのために開発した技術だが、歴史を紐解くと、こうしたアクセシビリティの技術は大きなイノベーションを生み出してきた」と言います。また、「AIスーツケースは日本科学未来館にも展示する予定なので、視覚障害の方々にもぜひ体験していただきたいです。親子で来場された時にお子さんがAIスーツケースを体験して、多様性に対する理解も広がる」と期待しているそうです。

AIスーツケース・デモンストレーション@コレド室町(日本橋)/ AI Suitcase Consortium

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