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Frances S. Chance

昆虫の脳は優れたAI実現の秘訣か?(TED: Frances S. Chance)

昆虫は脳型コンピューティングの鍵となるのか? 神経科学者のフランシス・S・チャンス(Frances S. Chance)氏はそう考えています。昆虫の驚くべき能力、例えば、トンボの的確な狩りのスキルや糞虫(フンコロガシ)の強靭さなどを紹介し、昆虫の小さな脳の中にあるニューロンの不思議なネットワークを解くことが、コンピュータやAIなどの飛躍的進歩につながる可能性があることを説明します。

Frances S. Chance
Are Insect Brains the Secret to Great AI? | Frances S. Chance | TED

チャンス氏は、「人間の脳には860億個の神経細胞があります。人間の脳をコンピューターに取り込むことは、現在の技術や知識で取り組むには、あまりにも大きく、複雑すぎる問題かもしれません」と述べています。

これらの昆虫は、私にとって世界で最も魅力的な脳を3つ持っています。彼らは人間レベルの知能は持っていませんが、それぞれが特定の仕事において卓越しています。高度に訓練された専門家だと考えてください。

アフリカ糞虫は、大きなボールを直線的に転がすのが得意です。サハラ砂漠のアリはナビゲーションのスペシャリストです。そして、トンボは狩りのスペシャリストで、自分が狙った獲物の約95%を捕らえます。

Are Insect Brains the Secret to Great AI? | Frances S. Chance | TED

トンボが狩りをするときは「迎撃」です。ただ獲物に向かってまっすぐ飛ぶだけではありません。獲物を横取りするような飛び方をするのです。獲物が移動しそうなところを狙うんです。まるでサッカー選手がパスを受けに走るように。これを正しく行うには、トンボは座標変換を行う必要があります。

トンボが獲物の旋回を確認してから反応するまでの時間は約50ミリ秒です。この速さは驚くべきものです。トンボは驚くほど少ない計算ステップで迎撃する方法を決めていることを示唆しています。

私たちは生物の脳と同じことをするだけでなく、生物の脳と同じ方法で動作するコンピューターチップを作ることを目標としています。そうすれば、トンボの脳と同じ大きさのコンピュータで駆動し、ある目標を捕らえて別の目標を回避するドローンを実現できるかもしれません。

人間の脳は、20ワットの電球と同じ電力を必要とすると推定されています。いまスマートフォンやスマートウォッチは、毎日充電が必要ですが、新しい脳型デバイスは、数カ月に一度、あるいは数年に一度の充電ですむかもしれません。今度昆虫を見かけたら、この小さな脳が驚くべきコンピューターチップの設計につながる可能性を想像して下さい。そして、昆虫が私たちに与えてくれる未来への可能性を考えてみてください。ありがとうございました。


モラベックのパラドックス(Moravec’s paradox)とは、人工知能(AI)やロボット工学の研究者らが発見したパラドックスで、伝統的な前提に反して「高度な推論よりも感覚運動スキルの方が多くの計算資源を要する(難しい)」というものです。

いま、AIの次世代技術のように言われている高度の文章生成(ChatGPT)や画像生成AIが話題です。不正使用対策で、すぐにこれを見破るAIも発表されています。「いたちごっこ」です。いまのAI技術環境ではそんなに難しくないということです。

AI(人工知能)にとっては最も難しいとされるのが、知覚・注意力・視覚化・運動など、昆虫を含めた生物や人間にとっては容易に獲得しているスキルです。マービン・ミンスキー氏も、最も解明が難しい人間のスキルは「無意識」だと強調しています。

「地球と人間の未来」のために、英知を結集した AI(人工知能)のブレークスルーに期待しています。「モラベックのパラドックス」の解決と克服を目指しています。

GoogleのAI言語スキルをヘルパーロボット(Everyday Robots)が獲得


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