左脳が論理性、右脳が創造性という俗説(TED-Ed: Elizabeth Waters)

人間の脳が左側と右側に分かれていることは明白です。この脳の構造をもとに、脳に関してもっともよく知られる、「左脳が論理性を司り、右脳が創造性を司る」という考えが生まれました。しかし、これは科学的根拠のない俗説なのです。では、その考えはどうやって生まれ、どこでおかしくなったのでしょう? 長い間はびこってきた誤解に、エリザベス・ウォーターズ(Elizabeth Waters)さんが迫ります。

左脳・右脳という俗説ーエリザベス・ウォーターズ / TED-Ed

1800年代の中頃、ブローカとウェルニッケという2人の神経学者が、外傷によってコミュニケーションに支障をきたした患者を調べた時のことです。2人は患者の左側頭葉に損傷があるのを発見し、言語が脳の左側で支配されていることを示唆しました。これが民衆の想像力をかきたてました。

作家のロバート・ルイス・スティーヴンソンは、論理的な左脳と感情的な右脳が競い合うというアイデアを登場人物を使って描いて世に送り出しました。それが「ジキル博士とハイド氏」です。しかし、このアイデアは医師や科学者が脳の片側が生まれつきなかったり、左右が分離した患者を調べてみると証明できませんでした。患者たちの動作は、あらゆる範囲に及び、論理的なものも創造的なものも確認されました。

のちのち、研究によっていくつかの機能では脳の片側が反対側に比べて機能が高いことがわかりました。言語は左半球に、注意力は右半球により依存しています。脳の片側が多く働くことはあるわけです。でも、それはシステムによる違いで人によって異なるものではありません。片側だけが優位というような脳を持つ人がいることを示唆する証拠はありませんし、左脳と右脳が論理性と創造性で分かれているという考えを裏付ける証拠もありません。

The left brain vs. right brain myth – Elizabeth Waters

特に論理性や創造性に長けた人がいても、その人の左右の脳とは関係ありません。そもそも論理性と創造性が互いに反目しあうという考えが事実に反するのです。複雑な数学の問題を解くには、見事な創造性が必要ですし、生き生きした芸術作品の多くは 込み入った論理的枠組みを備えています。創造性と論理性の成し遂げることは、ほぼすべて脳全体が1つになって機能していることを表しています。

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